修了制作が終わったので、雑感を書きます。
まず作品概要は以下です。
カメラで常に展示場所を見て、観客に対してVRChat上で身体動作し、その動作に合わせて動く白いハコの装置を展示場所に置く。ルールは写真として提示する。
以上です。映像は↓です。
「何をしたかったか」は最後に書きます。
「何をしていたか」を書きます。
1「ディスプレイと装置の組み合わせだけで動作するようにする」
"動作する白いハコ"を以降"装置"と呼称します。電気的にはあの装置とPCは繋がっていません。「ディスプレイに貼っつけた明度センサで勝手に動く装置」と「「VRChat内で明度が遷移するシェーダー」を右下に持つカメラ映像のディスプレイ」があるだけです。実は作りたかったのはこの構造だったりします。「"そう"なっている訳ではないのに、"そう"見える」モノ。欲しいなと思ったので。録画でも問題なく装置が動作するのはそのためです。
一応技術的なアレは下に貼っときます。やりたきゃやれます。そんなに難しいことはないはずです。強いて言うなら、9台のディスプレイにビデオウォールコントローラで9分割してるところが少しキモいです。VRChat上ではcanvas9枚を3×3に並べて、カメラでそれを撮ってSpoutで出して、OBS全画面出しでハード側で分割です。謎出力です。
2「風船を出してもらって取る」
大したアレではないのですが、やりたかったのでやりました。仕組みは力技です。ボタン押下はArduino経由でPCに流し、PythonでスペースキーとしてエミュレートしてOSCでVRChatに出力しています。で、「ワールド内でジャンプすると特定座標から勝手に風船が出る」ようにします。つまり、「ボタンが押されると数センチジャンプして」いて、「ジャンプで風船が出て」います。はい。もう少し何とかならなかったんですか?はい…。自作自演ですか?はい………。
3「パフォーマンスじゃないということにしておく」
人前に出てのパフォーマンス作品は申請が必要で、且つ制約が増えます。辛いので、パフォーマンスではないことにして敢行する抜け道でした。実際の平面配置は以下になっています。8mくらい横にいました。私(基底)を探す人が毎日少し居たのがちょっと面白かったです。
4「手持ちの手段を使う」
私が入った学科で知ったものをちゃんと使いたくなったので、使うことにしました。写真技法・展示技法・電子工作 です。初めてのことが沢山あって楽しかったです。制作段階で装置を沢山損壊させました。モータのトルクってすごいです。ジャンプワイヤも焦げました。電流は怖いです。降圧モジュールとアルミコンデンサから煙が出ました。怖いです。
5「持ち運べるようにする」
私の物理空間での制作物は大体そうなのですが、「その場所」に合わせて作ってしまいます。サイトスペシフィックという感じです。が、なんと私の学科に限り卒業・修了制作は茨城県での最終審査の後に東京は上野での展示が実施されます。10tトラック数台でみんなで移送します。2箇所の展示場所に合うように、且つ数日での搬入出と、梱包の簡便化が求められます。最初の動画と上野での展示を見た人なら「この動画どこ?」となるのはそのためです。逆にいえば、これはどこでもできて、そこでしか意味がなくなります。元来モノとはそういうものではありますが。
機能的な落ち度がそこそこありました。「思ったよりは上手く機能していない」部分
1「稼働か録画か」
平日午前は録画で他はずっと稼働するようにしましたが、切り替えが微妙に手間どります。OBS画面とmp4プレーヤーを変えるだけなのですが、装置が映像遷移時に一斉に動いてしまう点や稼働中マークを紙で表示してるのもちょっと大変でした。ここはもう少し手順を整えるべきだった気がします。
2「画面設計」
もう少し見やすい画角と配置にできたし、もう少し画的なコントラストと色の合わせをしたかったです。時間をください。
3「額縁」
正確には額縁ではないですが、壁打ちビス数を減らすために無茶をしたのでかなり傾きます。また、自前の印刷紙を使いましたが光沢がそこそこノイズでした(特に昼)。展示場所の自然光が終わっているという説もあります。
4「イージング」
これは装置の方です。ArduinoのeasingFactorが明度センサに対して合っていない感じの部分が多くてモニャってました。明度センサの環境誤差が思ったよりデカかったのも辛いところです。
本来ならしておくべき想定が足りていなかった部分も多かったです。以下半分愚痴です。
1「人が多すぎるタイミングでの全体動線が終わっている」
これは左右の展示者をコントロールできない卒展の弊害です。片方は立ち止まることができず、もう片方は折り返させられるので私のスペースに溜まらざるを得ません。仕方がないことですが、であれば他に打てる対策が無くはなかったです(懸念はかなりしていた為)。隣の暗室(および人間関係)を破壊してでも動線を通すべきでした。
2「暗幕がカスである」
仕方がないことその2です。あの暗幕は私が関与していない隣の人間のモノですが、遮音ではないので隣の映像の音声がマイク越しに常に爆音でループして私に聴こえていました。狂うかと思いました。また、暗幕は揺れ、ズレて、私の展示範囲が侵食されていました。都度直していました。暗室化で蛍光灯照明が使えなくなってしまったので大量のスポット照明を追加しました。15個です。私の展示の続き(裏?)があると勘違いする人が一定数居ました。空間の切り方、明示の仕方が下手すぎます(これは私も悪いですが)。撤収作業時に装置を損壊されました。カスすぎます。
3「結界が強すぎる」
"結界"はあの仕切りロープ柵のことを一般に指します。丁度良いのが無かったので全て自作しましたが、高さ・太さ・色はもっと抑えられたと思います。かなり見辛いし視覚を殺していました。が、あれだけやっても跨ぐ人が居るので難しい問題だとも思いました。全部アクリルで覆えば良いんでしょうか。そんなに見限らないとダメですか。
4「強い行動」
"20分近くボタンを連打する" "キャプションを無理やり回そうとする" "紐を引っ張る" "額縁を触る" "画面を触る" "結界を引っ張る" etc... 想定内の挙動ではありましたが、想像以上に精神的に辛くなりました。みなさん猿ですか?そうですか…
「何をしたかったか」
私は大学院には凡そプリレンダリングCGで入りました。が、それらを正しく物理空間での展示の手段で行うことがずっと上手くいくように思わず、他の手立てを都度考えていました。VRChatワールドもそうです。物理空間での展示との相性はずっと最悪に私には思われていました。HMDを被らせる展示(今年もありましたが) 最悪すぎるので何とかならないかな と思っていました。なりませんでした。私はCGやVRが専門なわけでは全然なくて、考えたり伝えたりするために最も良い場合にそれを選択している人です。それらが全然出てこない作品もあります(模型やキャプション、テクストや映像作品で完結するもの) のでそれで最後までいこうとも思ってました。でも、やっぱり少し苦しくて、小さくてもいいから、というよりできるだけ小さく、繋がっているモノが欲しかったというのがあります。元になっている「繋がり方の街」という作品は全然違う文脈から出ていたものですが、ずっと引っ掛かってはいたのでそのまま使うことにしました。「オチとして「繋がるように思えていなかったものが繋がっていた」ってなると良い感じだな」という打算が早い段階で発生していた作品でもあったため、転用は気兼ねなかったです。元々はVRChatワールドにする予定でしたが、転じて展示になりました。"てんじててんじ"って語呂が可愛いですね。
ちゃんと場所が貰えることって少なくて、だからそこで出来ることを考えようと思って、作りました。なので、展示としての目的は「検証」でした(キャプションにも一応そう書いてあります)。「作品」を「魅せる」みたいなことが私個人には出来ない(すべきでないと思っている)ので、今後もこんな感じだと思います。「状態」とか「状況」、作りたいですよね。…ですよね?今後もやっていくぜ!という感じです。やっていきます。
